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東京地方裁判所 平成5年(行ウ)258号 判決

神奈川県茅ヶ崎市松が丘一丁目八番二一号

ベルヴィル茅ヶ崎松が丘一〇八号

甲事件原告

岡﨑福造

神奈川県藤沢市大鋸一丁目六番一〇号

乙事件及び丙事件原告

有限会社ヒルトップ

右代表者代表取締役

岡﨑節子

神奈川県鎌倉市津五一五番地三六

乙事件及び丙事件原告

岡﨑節子

右原告三名訴訟代理人弁護士

吉武伸剛

阿野光男

東京都千代田区大手町一丁目三番二号

甲事件及び乙事件被告

東京国税局収税官吏 坂本良介

甲事件及び丙事件被告

東京国税局収税官吏 富士原達夫

右被告両名指定代理人

秋山仁美

佐藤謙一

阿部武夫

岩崎広海

山田昭夫

江口庸祐

横﨑武義

舟久保準

主文

一  本件訴えをいずれも却下する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実及び理由

第一請求の趣旨

一  甲事件

1  被告東京国税局収税官吏坂本良介が平成五年六月二四日神奈川県鎌倉市津五一五番地三五岡﨑福造方でした別紙差押目録(一)(以下「目録(一)」という。)記載の物件に対する差押処分(以下「本件処分(一)」という。)を取り消す。

2  被告東京国税局収税官吏富士原達夫が平成五年六月二四日神奈川県鎌倉市津五一五番地三六岡﨑福造方でした別紙差押目録(二)(以下「目録(二)」という。)記載の物件に対する差押処分(以下「本件処分(二)」という。)を取り消す。

二  乙事件

本件処分の(一)のうち目録(一)の番号1ないし30の物件についてされた部分を取り消す。

三  丙事件

本件処分(二)を取り消す。

第二事案の概要

本件は、原告らが、東京国税局収税官吏である被告らが国税犯則取締法二条に基づいてした本件処分(一)及び本件処分(二)が違法であるとしてそれらの取消しを求める事案である。

1  原告岡﨑福造に対する所得税法違反の嫌疑により、東京国税局収税官吏である被告らが本件処分(一)及び本件処分(二)をしたこと、その後、東京国税局収税官吏宮﨑弘行が、平成六年五月一〇日、目録(二)の番号33ないし70及び74ないし97の差押物件(以下「還付済物件」という。)を原告岡﨑福造の妻岡﨑千晴に還付したことは、当事者間に争いがない。

2  被告らは、還付済物件に係る処分の取消しを求める訴えは不適法であり、また、還付済物件を除く目録(一)及び目録(二)記載の差押物件はいずれもすでに検察官に引き継がれたから、それら差押物件に係る処分の取消しを求める訴えもまた不適法である旨を主張する。

第三当裁判所の判断

一  東京国税局収税官吏宮﨑弘行が平成六年五月一〇日原告岡﨑福造の妻に還付済物件を還付したことは、前記のとおりである。そうすると、本件処分(二)のうち還付済物件に係る部分は差押処分の効力を失うに至ったことが明らかであるから、これら物件に係る差押処分の取消しを求める訴えの利益は失われたものといわなければならない。

二  弁論の全趣旨によれば、東京国税局収税官吏宮﨑弘行は、平成六年三月二九日、原告岡﨑福造を横浜地方検察庁検察官検事正飛田清弘に告発し、国税犯則取締法一八条一項に基づき、同年六月一〇日、目録(一)及び目録(二)記載の差押物件(還付済物件を除く。)を差押目録とともに右検察庁検察官に引き継いだことが認められる。

国税犯則取締法一八条三項によれば、同条一項の規定により検察官に引き継がれた差押物件は、検察官が刑事訴訟法の規定により押収した物とされるから、右引継ぎの後においては、差押処分に対する取消しの請求は、刑事訴訟法四三〇条一項所定の手続によるべきであり、行政事件訴訟法所定の取消訴訟によることはできないというべきである(刑事訴訟法四三〇条三項)。

三  よって、本件処分(一)及び本件処分(二)の取消請求に係る原告らの訴えは、いずれも訴えの適法要件を欠くものとして却下することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 佐藤久夫 裁判官 橋詰均 裁判官 武田美和子)

別紙 〈省略〉

(目録次葉)

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(目録次葉)

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(目録次葉)

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(目録次葉)

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(目録次葉)

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(目録次葉)

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(目録次葉)

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(目録次葉)

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(目録次葉)

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(目録次葉)

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